ふくおか県酪農業協同組合

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6月は酪農重大局面相次ぐ  需給対応と規制改革計画に注視
6月は、酪農・乳業関係者にとって重大局面が重なる。まずはコロナ禍での生乳需給対応だ。北海道の生産が前年対比2%超で増産のピークを迎えた。生乳廃棄せずにどう加工処理するか。次に、生乳改革検証に絡みホクレン分割まで言及があった規制改革実施計画が決まる。
生乳ピークで家庭需要拡大重要に
Jミルクは生乳動向を示す需給短信で、5月大型連休の生乳処理は混乱なく進んだと明らかにした。だが、6月の主産地・北海道生乳生産ピークとなることを踏まえ、「家庭内消費の一層の拡大が重要」と呼びかけている。

心配されていた、学校給食牛乳が止まる大型連休中の生乳廃棄は避けられた。まずは当面の生乳処理問題は乗り切ったと言える。
ただ、その分、保存の利くバター、脱脂粉乳の乳製品在庫が積み上がったことを意味する。問題は、外食やホテル、レストランなど業務用需要の先行き。飲用牛乳は圧倒的に家庭用が多いが、乳製品は業務需要の動向が、生乳需給全体を左右する。
6月「牛乳月間」でも酪農理解強調
6月1日は「牛乳の日」、6月が「牛乳月間」だ。Jミルク、中央酪農会議、日本乳製品協会など関係団体は、コロナ禍での生乳需給の現状や、酪農家への共感醸成活動に力を入れていく。SNS、オンラインでのイベントなどを通じ、需要拡大、一層の家庭消費も呼びかける。
ホクレン80億円出口対策
ホクレンは、2021年度乳価据え置き決着と合わせ総額80億円の「出口対策」を措置した。大手乳業はこの対策を最大現有効活用し生処一体で乳製品処理を進めている。大型連休の生乳処理にも効果があった。
緊急事態延長で業務需要低迷に拍車
生乳需給でJミルクが懸念しているのは、コロナ禍が一段と深刻化していることだ。同短信でも緊急事態宣言の延長や5月12日から愛知、福岡に対象拡大、さらにはまん延防止等重点措置の適用拡大が相次ぎ、大型商業施設の時短営業などで「業務用需要はさらに低迷の可能性がある」とした。全国知事会では、緊急事態宣言の全国的発動も視野にコロナ対策を強化すべきとの提言が相次いだ。一層の需要縮小も想定される事態だ。
ヨーグルト消費も一服感
もう一つの懸念材料は、好調だったヨーグルト需要の一服感が鮮明になってきたことだ。ヨーグルトは脱脂粉乳の需要に結びつく。同短信では、ドリンク、個食、大容量の3タイプとも前年同期比で90%以下となった。3タイプとも90%割れはこれまでにない。機能性など新商品投入や天候次第で盛り返す可能性もあるが、今後のヨーグルトの需要動向に注視が必要だ。
家庭需要〈一本足打法〉は限界
飲用牛乳は家庭内消費がポイント。巣ごもり需要から牛乳消費は順調だが、同短信では全ての品目で前年同期比(同)マイナスとなった。ただ前年がコロナ禍初年度目で消費が堅調に推移したことを踏まえると、比較的安定的な伸びとは言えよう。

そこでJミルクの同短信でも「家庭内消費のさらなる拡大が重要」と明示した。だがこれは、野球に例えれば〈一本足打法〉と同じ。家庭内需要に頼っては、生乳需給は早晩、バランスを崩すことは間違いない。やはり乳製品の業務需要が支えてこそ、生乳の用途別需給均衡が成り立つ。家庭、業務用の〈二本足打法〉に早く戻らないと、生乳需給は安定しない。
コメは家庭備蓄で需給一段と緩む
家庭内消費で、もう一つの主力であるコメ需要は一段と低迷が明らかになった。巣ごもり需要でコメを買い求め家庭内備蓄が増えているためだ。米穀機構の4月の主食用米需給の現状判断DI(動向指数、100に近づくほど逼迫)は17と、過去最低だった2014年9月の16に次ぐ低水準となった。
牛乳はコメと違い備蓄が効かない。そこで保存できる乳製品対応となり在庫がたまる構図となる。生乳需給も、コメ需給緩和を踏まえた効果的な需要拡大策を打たなければならない。
廃棄正念場に二つの〈山〉
生乳需給も当面、二つの山を越える必要がある。まず学給牛乳が止まる5月大型連休、さらには6月上・中旬に生産の伸び率がピークを迎える北海道の生乳生産動向だ。大型連休はホクレンをはじめ、関係者の需給対応で生乳廃棄は避けられた。次は今後1カ月にわたる増産への対応だ。6月増産の足音が高まる。これが、コロナ禍の業務用需要の低迷とどうリンクしていくのか。乳製品在庫増大は、今後の生乳計画生産とも絡むだけに、これから1カ月の生乳需給動向から目は離せない。
20年度決算は外食苦戦で業務需要が〝蒸発〟
コロナ禍での主要企業の2020年度決算が5月末に出そろった。特徴は〈K字型〉の両極化だ。食品関連では、密回避に伴い外食不振で農畜産物の業務用需要低迷を招く。農家経営にも打撃となる。需要拡大への対応が急務だ。
あらゆる分野で〈K〉現象
景況はアルファベットで表わす。最も好ましいV字回復。一旦底を打ち再び上昇する。一度落ちたら低空飛行が続くL字型。最上昇するも低迷が比較的長いU字型。コロナ禍の20年度決算で連呼されるのは〈K〉。字の如く上下が開く、つまりは明暗がくっきりする両極化の意味合いを持つ。

「週刊ダイヤモンド」5月15日号は特集「戦慄のK字決算」を編んだ。そこで分かるのは、業界内部でも大きな格差が出てきたことだ。つまりは、先行き不透明なコロナ禍でトップの方針、戦略次第で展望も開けるし、暗闇から一向に脱せないケースが出る。

小タイトル「あらゆる分野で〈K〉現象」は地域・国別でも同じ。景気回復は米中で加速し日欧に遅れが目立つ。背景にはコロナ対策の実効性を映す。特にウイルス抑制へワクチン接種のスピード感が格差となって表れる。
外食でも二極化
〈K〉は全般的にコロナ禍が直撃した外食でも顕著だ。主要外食の勝ち組、負け組は以下の通り。
◎勝ち組 ・マクドナルド・モスフード・ケンタッキー・スシロー
◎負け組 ・ワタミ・王将・松屋・ゼンショー・ロイヤル・サイゼリヤ・幸楽苑

つまりは店内で食せずテイクアウトできる業態が好調だった。一方、店内で対応する業態は苦戦を強いられ、特に深刻なのはアルコール接待を伴う居酒屋だ。密回避、時短営業は夜の客層が圧倒的に多いワタミなど居酒屋を窮地に追い込んだ。

半面、工夫次第で業績を伸ばした企業も目立つ。品目別では回転寿司と焼き肉業界が目立つ。典型はコメ、総菜などでJA全農が業務提携する回転寿司チェーンのスシロー(企業名フード&ライフ カンパニーに改称)。売上高、純利益とも過去最高を記録した。客席ごとに囲み飛沫防止を徹底するなどコロナ対策を徹底。寿司は居酒屋と違い「食べたい」と目的を持って出かける品目なのも幸いした。ただ比較的、高価格帯の多い「銚子丸」は店舗縮小などとなった。価格設定、子ども、女性向けのデザートなど豊富なメニューを誇る家族サービス型寿司店が消費者の支持を得た。店舗数が多く、テレワークの中でも近所で家族が手軽に出かけられる対応も功を奏した。
苦戦を強いられたサイゼリヤは、これまでのファミリー主力から、小型店舗でお一人様需要を取り組む作戦に転じた。いずれにしても、なかなかつかみきれないコロナ禍ニーズを手探りで、外食挙げた暗中模索が続く。
内食需要で食肉4社増益
食品関連でもK字は反映する。このうち、コロナ禍で在宅機会が増え家庭内需要、巣ごもりニーズに応じ内食への対応が業績のカギを握る。
典型は食肉、乳食の分野だ。
食肉大手は日本ハム、伊藤ハム米久HD、プリマハム、スターゼンの上位4社は増益、業界5位の丸大食品は減収減益と明暗を分けた。ここにもK字が映す。

最大手の日ハムは売上高1兆1,761億円で前年比4・4%減、営業利益(事業利益)は524億円で同19・8%増の減収増益。需要増加で国産鶏肉、豚肉を中心に価格転嫁が進み、収益確保につながった。2位の伊藤ハは売上高8,427億円の同1・1%減、営業利益は39・1%増の215億円と大幅な伸び。主力のハム・ソーセージや調理加工品など加工食品事業の利益は8割以上伸びた。同社の2021年度の食肉事業の戦略は大手スーパーやドラッグストアへの販促を掲げた。プリマはまとめ買い需要に対応した大容量パックや、つまみ向け商品、ハンバーグなど家庭向けの販売で増収増益となった。
乳業大手3社も増益
売上高1兆1,918億円の明治HD、同6,152億円の雪印メグミルク、同5,836億円の森永乳業の乳業大手3社も売り上げは苦戦したものの増益を確保した。大手乳業はバター、脱脂粉乳の大口の業務需要がレストラン、ファミレス、ホテルなど外食でコロナ禍の影響を大きく受けた。一方で、そのマイナス分を埋まるため家庭向けに注力し増益にこぎ着けた形だ。雪メグは家庭用バターの供給強化へ北海道の基幹乳製品工場・磯分内工場で小口バターの最新鋭製造施設の稼働も始めた。
〈健康〉〈付加価値〉武器に価格志向に対応
明治は、企業スローガンを〈明日をもっとおいしく〉から21年度以降は〈健康にアイデアを〉に代えた。コロナ禍で食品産業として〈健康〉を前面に打ち出す。雪メグの西尾啓治社長は決算会見で「コロナ禍で価格志向は一段と強まる。特色のある製品で対応していきたい」と強調した。具体的には、同社の独自商品・さけるチーズやキリンHDと連携した乳酸菌β(ベータ)ラクトリン由来の〈脳の健康〉への取り組み強化などを挙げた。コロナ禍に二極化するなかで、生き残りをかけ、健康、付加価値の二つをキーワードにしている。
高鳴る政局の足音
菅政権初国政選挙である4月25日の北海道、長野、広島の3選挙は、自民〝全敗〟に。「政治とカネ」が逆風となった。五輪、コロナ、景気の政権3点セットはどれもうまくいかない。選挙結果は今後、「政局」に発展しかねない。
解散巡り会期末に向け緊迫
4月25日は縁起の悪い〈仏滅〉だった。そんな日に大事な国政選挙をせざるを得ないほど、政権は追い込まれた。今後の政治日程は以下の通り。菅首相による解散・総選挙の選択の幅はさらに狭まった。菅はカードをいつ切るのか。当面は国会最終盤での野党側の内閣不信任案提出を巡り、解散・総選挙の有無を含め緊迫した政治情勢が続く。

・6月16日  通常国会会期末
・7月4日   東京都議選
・9月5日   東京五輪・パラリンピック閉会
・9月末    自民党総裁任期
・10月21日 衆院議員任期満了
〈仏滅選挙〉広島でも与党冷水
3選挙のうち、もっとも注目されたのは参院広島の再選挙の行方だ。「政治とカネ」疑惑の象徴とされたからだ。広島の敗北は、単なる一選挙区の負けにとどまらない。

4月25日の三つの国政選挙は、在宅起訴となった吉川貴盛元農相の議員辞職伴う衆院北海道2区、立憲民主党参院幹事長だった羽田雄一郎コロナ感染での急逝による参院長野の衆参補選。参院広島は公選法違反の有罪判決が確定した河井案里(自民離党)の当選無効による再選挙。北海道は自民が候補者を立てず不戦敗、長野は立憲の弔い合戦のため勝敗は決まっていた。問題は残る広島の行方だった。

広島は分厚い保守層で池田、宮沢ら歴代首相も輩出した自民党の牙城の一つ。次期総裁選有力候補の岸田前政調会長が地元の広島ということもあり、陣頭指揮を執り自民議席死守の背水の陣を敷いた。だが、「政治とカネ」の逆風はこの厚い保守地盤でも止むことはなかった。

広島敗北は、まず地元責任者の岸田への批判となる。つまりは次期総裁選に大きな疑問符が付いた。次に選挙を仕切った二階自民幹事長への批判、さらには菅政権初の国政選挙ということで、無敗神話を持つ先の安倍と比べた〈選挙に弱い菅〉との烙印が自民党内で広がりかねない。ただ人柄の良さからか、岸田には同情論もある。
菅原前経産相と〈豪腕〉西川引退
「政治とカネ」と絡め二つの話題も。補選、再選挙直前の先週末に菅原一秀前経産相が地元で現金提供の疑惑が浮上し、東京地検特捜部が再捜査に入ったとの情報が流れた。自民党関係者からは「選挙戦に影響しかねない。最悪のタイミングだ」との恨み節が相次いだ。

もう一つ。吉川元農相と共に鶏卵金銭授受疑惑などもあり内閣参与を辞めた西川公也が4月下旬に次期衆院選の不出馬を表明した。〈豪腕〉農林族として知られ、反対派を押し切ってTPP参加、急進的な農協改革を主導したが、事実上の政界引退だ。ただ、地元・栃木の県畜産協会会長の続投などには意欲を示した。何らかの政治の〈足場〉を引き続き維持したいとの思惑がにじむ。
「菅で戦えるのか」
今回の〈全敗〉で出てくるのは「菅で次期衆院選は果たして大丈夫なのか」と言う声だ。
まずは負けた要因を求める〈戦犯〉捜し。

広島選挙区は菅、二階とも選挙応援に入らない異例の展開となった。一方で憲政史上最長の政権を記録した安倍晋三はキングメーカーを狙い自らの派閥・細田派から下村自民政調会長らを広島入りさせた。岸田派からは林芳正元農相が広島各地を精力的に回った。山口出身の林は、次期選挙で参院から衆院のくら替えを目指す。広島を舞台に、自民内の各派閥、議員個人の複雑な思惑が交錯する選挙模様は見て取れる。
ただ地元選挙を落とした岸田への批判は、菅にとってもある思惑がある。岸田は次期総裁選を目指す。その有力ライバルの一人が総裁選レースからの脱落を意味する。それだけ、9月末が任期の自民総裁選で菅再選の確率が増す。
野党に追い風は見当違い
今回の3国政選挙は実は野党にとっても、解散が迫る次期衆院選の〈試金石〉の意味合いが強かった。野党統一候補でなければ、とても自公与党候補には歯が立たない。反自民を旗印にした野党統一戦線がうまく機能するのか。特に問われたのが、野党第一党・立憲民主党の枝野幸男代表の役割だ。
結果的に、焦点の広島でどうにか野党系勝利となった。それが早晩行われる解散・総選挙の〈追い風〉になると考えるのは早計だろう。全く野党の支持率が上がっていない。特に立憲は一桁台が続く。今回の3選挙は「政治とカネ」「コロナ失政」による〝敵失〟で勝利を得たに過ぎないと見た方がいい。


(次回「透視眼」は8月号)